2010年2月アーカイブ

THE BRADY BLOG

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「怒り」をあえて「アンガー」と書いて説得力を持たせることのできる日本語の書き手なんてこの人以外にない。

「原子爆弾の誕生」

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正月休みに読むつもりで奮発して買った
「原子爆弾の誕生」
上下巻合わせて13,650円!
ページ数1,476ページ
正月休みだと全く歯が立たず読むのに結局ひと月かかった。



題材が題材だけに不謹慎だとは思うけど
読み進めていく内にわくわくどきどき、
どの章をひとつとってみてもそれで小説一冊書けるほどネタ満載。

教科書に載ってるキラ星のような天才物理学者達がしのぎを削って大発見を連発。
高校程度の物理の知識があるだけでもずいぶん楽しめる。

そしてノルウェーの重水施設への潜入のくだりとかは、ほとんどスパイ小説。
はたして重水のドイツ国内への移送を阻止できるのか。

下巻のマンハッタン計画はノリはほとんどプロジェクトX、でも規模が全然比べものにならない。
そしてとうとう成功する原爆の実験。

そのあたりから悲惨さがどんどん高まる。
著者がアメリカ人ジャーナリストにもかかわらず
無差別爆撃について道義的に問題があると率直に語っているのは好感が持てた。

しかし広島型原爆は実験なしのぶっつけ本番だったんだ...初めて知った。

いい本なんだけどいくつか難点がある。

・標的がドイツから日本に変わるいきさつについての記述があまりなく唐突感じが拭えない。
日本に原爆を投下した理由としては日本軍の特攻などの後先を考えない執拗な抵抗が上げられていて
アメリカ政府の公式な見解に近い理由、日本本土上陸作戦に伴うアメリカ軍の犠牲を最小限に止めたかったのでは
ということが平板に述べられるばかり。

人種的な偏見が理由の一部にあったのではとやはり疑ってしまう。

そういえばチャーチルがすごいイヤなやつに書かれている。
そしてシラード、ボーアあたりがいいものとしてフィーチャーされている。

・東京大空襲で爆撃される側のリポートがフランス人ジャーナリストのものしかないのは不自然。
広島に関しては被爆した日本人の証言が取り上げられてはいるけど
一次資料は英語に翻訳されているものしか当たってないのではないか。


・日本人の物理学者が翻訳をしているのだが、物理学に関わりのない地の文に誤訳が多くて
もとの英語の文章を類推して読まなければいけないような部分がある。


そのあたりを差し引いても圧倒的な取材量を背景に事実を中心に価値判断を押し付けないようによく書かれていて「おもしろい」本だと思う。
20世紀の栄光と悲惨がこれでもかこれでもかとごたまぜに突っ込まれていてなんともいえない気分になる。

Love, time and money.

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Love, time and money.
Originally uploaded by takaakik

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